タイガーハート
教室へ足を踏み入れると、教室が静まり返る。
自分の席へ鞄を置くと、いつもどおりの声が飛んできた。
『おはよ、虎』
目の前の席に座る隼人。
「おはよ」
すると、クラスメイトが誰からともなくこちらへ集まってきた。
『小虎、ごめんね』
口を開いたのは、食って掛かってきた伏見のグループの女子生徒だ。
それを皮切りに、皆が口々に謝る。
「なんだよ、別にいいって」
何だか照れ臭くなる。
嬉しくないと言ったら嘘になる。
気付けば、伏見と居るうちに、
いつの間にか、自分の事をわかってもらいたいと思うようになっていた。