タイガーハート


教室へ足を踏み入れると、教室が静まり返る。

自分の席へ鞄を置くと、いつもどおりの声が飛んできた。

『おはよ、虎』
目の前の席に座る隼人。

「おはよ」


すると、クラスメイトが誰からともなくこちらへ集まってきた。

『小虎、ごめんね』
口を開いたのは、食って掛かってきた伏見のグループの女子生徒だ。

それを皮切りに、皆が口々に謝る。
「なんだよ、別にいいって」

何だか照れ臭くなる。
嬉しくないと言ったら嘘になる。

気付けば、伏見と居るうちに、
いつの間にか、自分の事をわかってもらいたいと思うようになっていた。

< 84 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop