俺様御曹司の悩殺プロポーズ
表と裏のある男
 


 ◇◇◇


ここは“桜テレビ北海道"。

札幌市の中心にあるテレビ局だ。


スタジオAは、ただ今生放送中で、眩しいライトを浴びる私が、台本通りの台詞で番組をしめくくった。



「北海道はついに雪のシーズン到来ですね。

皆さん、寒さに負けず、道産子(ドサンコ)パワーで冬を乗り切りましょう!

今週の土曜ミルクカフェはこれでお終いです。

また来週も見て下さいね。

したっけね〜!」



笑顔の私がカメラに向けて手を振ると、画面はCMに切り替わる。



したっけね〜(またね)と方言で締めるのは、ローカルテレビならではのこと。



桜テレビ北海道に女子アナとして入社して二年目。

まだまだヒヨッコの私に先輩達が教えてくれたのは、地元で愛されるキャラになれ!ということ。



世間一般の人がイメージする女子アナは、きっと全国ネットで活躍する東京の女子アナ達。



彼女達は素晴らしい。

才色兼備で上品で、オナラもウ〇コもしないように見える。

キラキラ輝くその姿は、月か太陽かと言った感じ。



そんな素晴らしい全国区の女子アナと、私達は違った。


北国のローカルテレビの女子アナは、美しさより愛嬌が大事。

賢さよりも、親しみやすさ。



現に私は三流大学出身で、頭は決してよくない。


見た目も綺麗と言われたことはなく、地元のおじちゃん、おばちゃん達は、

「めんこいねぇ」
「元気だねぇ」

そんな風に褒めてくれる。



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