俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


そんなこんなで寝不足で疲労が溜まり、目の下でクマちゃんを飼いはじめた私。


局につくまでの20分ほどを、高級皮張りシートの後部席で、ぐーすか気持ち良く二度寝する。



「おい、着いたぞ。起きろ。

俺に送らせて爆睡とは、いい身分だな……ったく」



そんな呆れた言葉で起こされるのも、日課となりつつあった。




メイク室に入ると、花山田大五郎こと花ちゃんが、

パンチの効いた見た目とは真逆のオネェ言葉で、今朝も私を迎えてくれた。



「うふふ、小春ちゃん〜、今日も涼ちゃんの隣に座ってね」



風原さんは目の前に有名新聞各社の朝刊を置き、

ヘアメイクされながら、無言で紙面に視線を走らせている。



彼の髪を整え終わった花ちゃんは、次に私の髪に霧吹きをシュッシュと吹きかけ、こう言った。



「あら、今日は一段とクマがくっきりねぇ。

昨夜もレッスン?いいわねぇ〜!

寝かせてもらえないほどに、涼ちゃんと熱い夜を過ごせるなんて、羨ましいわ〜。

あたしも、女子アナになろうかしら?」



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