俺様御曹司の悩殺プロポーズ
その言い方は、色々と誤解が生まれそうなので、ちょっとマズイ。
メイク室にいるのは、私達三人だけじゃなかった。
3つ離れた椅子に、エンタメ担当の男性アナがいる。
5つ離れた椅子には、番組コメンテーターでエコノミストの中年女性もいて、
もう一人のメイクさんに、ドライヤーを当てられている最中だった。
一足先にヘアメイクを終えた風原さんが、新聞を畳んで立ち上がる。
他の人もいるので、彼は今、表向きの顔。
爽やか誠実スマイルで、ニッコリ笑って花ちゃんにこう言った。
「花山田さん、私は先輩アナウンサーとして指導しているだけですよ。
“たまたま”日野さんと同じマンションに住んでいるので、局外でも困った時には相談に乗っています。
日野さんは東京本社に来たばかりで、まだ不安が強いようです。
一番近くにいるのが私ですので、“自然な成り行き”と言いますか、相談役を引き受ける形となりました。
これは上司も承知のことです。どうか誤解のないように。
日野さん、そうですよね?」
「ソウデスネ」