俺様御曹司の悩殺プロポーズ
せっかく花ちゃんに可愛くメイクしてもらったのに、
すっかり落ちて、ほぼスッピンになってしまった。
それでも涙が止まらず、まだボロボロ泣いていると、
通話を終えた風原さんが外から戻ってきてしまう。
「悪い、待たせた……」
そう言いかけた彼は、私を見て一瞬言葉を失った。
「おい、こいつに何をした?」
「た、玉葱だよ!玉葱をほら、こうして……」
テーブル上に手品の如く、ボウルと下ろし金を出した立花さんは、
高速で玉葱を擦り下ろしていた。
そんなごまかしも、無駄な努力に終わってしまう。
涙目で風原さんを見つめる私の顔に、気持ちが表れてしまっていたから。
心はまだ感動中で、
両手の指を組み合わせ、キラキラした目で風原さんを見つめる私。
「涼には内緒に…」そう言われていたのに、態度ですっかり白状してしまっていた。