俺様御曹司の悩殺プロポーズ
「ちょっと、待って下さい!」
鬼島プロデューサーの説明を遮り、椅子をガタンと鳴らして立ち上がったのは、
私の右隣に座っていた中村アナ。
彼女は驚き慌てた顔して、早口でまくし立てた。
「私の担当コーナーが廃止って、モーニング・ウインドから外されるという意味ですか!?
どうしてですか?
私が何か大きなミスをしたとでも言うのですか?
それとも……三十路の女子アナは花がないから、朝の番組に出るなと言いたいのですか?」
会議室はシーンと静まり返り、変な空気に包まれた。
中村アナは入社8年目の30歳。
今期の地上波でのレギュラー番組は、モーニング・ウインドと、土曜の夜の短いニュース番組の二つだったはず。
レギュラー二本の内、一本を失うのは確かに辛く、慌てるのも無理はない。