俺様御曹司の悩殺プロポーズ
北海道を出る時は、目立ってやると思っていた。
さっきは、頭にりんごを乗せた青森のアナや、手にきりたんぽを持った秋田のアナを見て、
しまった!とも思っていた。
今の私はかなり目立っているけど……こんな目立ち方はしたくない。
日野小春、24歳。
24年間のほほんと生きてきた私にとって、今のこの状況こそが、人生最大のハプニングではなかろうか。
カメラが私を追っているので暗い表情はできないが、
ヘラヘラ笑いながらも、心はしっかり落ち込んでいた。
そんな私に、更なるハプニングが訪れる。
3段のひな壇の端に作られた階段は、5段ある。
いわし師匠を待たせるわけにいかないので、いつもより高いヒールのパンプスで駆け降りた。
そこで、悲劇が起きてしまった。
階段を踏み外し、キャアと叫び声を上げた私は、
そのまま、ズベベベーンと下まで落ちてしまったのだ。