俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


慌てふためく私の頭の中で、牛が一頭「モーウ」と鳴いていた。


斎藤部長がその牛の乳搾りをしながら、

「北海道をアピールしてこいよー」

そんな、のんきことを言っていた。



牛子さんの毛糸のパンツを披露してしまったことで、

酪農王国北海道をアピールできたような気も……。



それは果たして、幸か不幸か?


そんな問いを自分に投げかけ、

「不幸に決まっているでしょ!」

と、心で叫んでいた。



スタジオ内はまだ笑いに包まれていた。


暗くてよく見えないが、スタジオの奥の方では、

お腹を抱えて人一倍爆笑している、イケメン風シルエットがいた。



トマトみたいに真っ赤な顔して、よろよろ立ち上がった私の背中を、

いわし師匠がバシバシ叩いてこう言った。



「いや〜、派手にご当地アピールしてはる女子アナさん達の中で、

あんただけ、えらい地味やな〜と思ってんけど、

そんなん隠してたんか!

一番目立ったで?良かったな〜」



ちっとも、よくないわ!



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