俺様御曹司の悩殺プロポーズ
悪目立ち……嫌い……。
胸にグッサリ突き刺さる言葉だけど、不思議と腹は立たなかった。
むしろ、その通りだと。
彼女が目立っている理由は、その美貌だけではなく、
努力に裏打ちされた女子アナとしての確かな技量があるお陰。
でも私は……美しさもなければ、主張できるほどの努力も技量もないのに、
はからずしも目立ってしまった。
確かに悪目立ちで、言い返す言葉は見つからない……。
お世話になったスタッフさんに挨拶し、着替えを終えるとすぐに控え室を出た。
青森と秋田の女子アナさんが、
「今日泊まり? 飲みに行きませんか?」
と誘ってくれたけど、とてもそんな気持ちになれず、丁重にお断りした。
予定では東京に一泊して、明日の朝の飛行機で帰るつもりでいたが、
急げば最終の便に間に合いそう。
今すぐ、帰りたかった。
札幌のテレビ局に……いや、家族が待っている、もっと北のど田舎に、
オラ、帰りてぇだ!