俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


テーブルの向かいに座っている風原さんの顔が怖いので、

しどろもどろで弁解してみた。



「え、えーと、あれはですね。

原稿にミスプリントがあって、そのまま読んでしまったから、あんなことに……」



「原稿の下読みを、おろそかにしたということか?

だらけてんじゃねぇよ。

初見の原稿でも、あれくらいの間違いは、口に出す前に気づけ」



「はい、その通りです。
ごめんなさい……」



「30分後、ニュース読みの練習を始める。

今日は徹底的にしごくぞ」



「え゛……」




やっぱり私って、どこか抜けている。


進歩している気になっていたけど、調子に乗るとすぐにヘマをやらかす。


ダメ女子アナの汚名を返上する日は、まだまだ先なのかも……。




風原さんは食べ終えた食器を、私の分もまとめてキッチンに下げてくれて、

食器洗浄器の稼動する音が聞こえてきた。



戻ってきた彼は、リビングのテレビを付ける。


合わせたチャンネルはもちろん桜テレビで、夕方の10分ニュースを流していた。



ニュースを読んでいるのは佐川さんで、まだ仕事中なのかと少し驚いた。



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