俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


風原さんと佐川さん、ニュースを読み合う二人を、毎朝うっとり見ていただけの私だけど、

いざやってみると予想より難しく、彼の声にうっとりしている暇はない。



自分だけじゃなく、相手のペースにも気を配らなければならず、

何度も失敗して、何十回とやり直しさせられた。



それが三時間半続いて、解放してもらえたのは22時。


仕事より疲れて、よろよろしながら自分の部屋に帰り、

ドサリとベッドに体を投げ出した。



彼女ではない私だけど、彼女もどきと言ってもいいポジションにいるはずなのに、

やっぱり風原さんは甘くない。


今日はキスもしてくれなかったな……。



「疲れた……」



そう独り言を呟くと、頭の中に佐川さんの顔が浮かんできた。



多忙で、家にも帰れない佐川さん。

彼女と比べたら私なんか暇人の部類で、「疲れた」なんて口にしてはいけないのかも。



いつか、佐川さんのレベルに辿り着きたいのなら……。




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