俺様御曹司の悩殺プロポーズ
恐る恐る見上げると、やっぱり風原涼本人が立っていた。
仕立てのよいライトグレーのスーツに、白いワイシャツ。
青に水色のラインの入ったネクタイをキッチリ締め、テレビで見る通りに爽やかなイケメンだった。
爽やかイケメンにプラスして、知的で真面目そうなイメージの彼が、
床にへたりこんでいる私を見下ろし、ニヤリと笑っている。
その笑い方だけはテレビで見る彼とは違っていて、戸惑ってしまった。
風原涼は私の前にしゃがみ込み、目線の高さを私に合わせる。
そして……形の良い唇からは、およそ彼の物とは思えぬ言葉が飛び出した。
「目が潤んで頬が赤いな。
まさか、俺の声だけで感じたのか?
お前……変態だな」
「ち、違っ!」
違いますと、はっきり言えなかった。
感じたなんて、そんなハレンチな表現をされたくないけど、
確かにその声にゾクゾクして、ハウンとなってしまったから。
恥ずかしさに赤くなったり、変態呼ばわりされて青くなったり、
壊れた信号機みたいに、目まぐるしく顔色を変化させる私。
そんな私に彼は、
「さっきの収録、楽しませてもらった」
そう言って、薄く笑った。
さっきの収録って……。
え……見てたの?
牛子さんの毛糸のパンツを!?
そう言えば、スタジオの奥で、やけに爆笑しているイケメン風のシルエットがいたような気が……。
あれは番組スタッフじゃなく、まさかの風原涼。