俺様御曹司の悩殺プロポーズ
落ち着いた和モダンの雰囲気の店内に足を踏み入れると、
見慣れた顔のスタッフさん達がスタート前からビール片手に赤ら顔をして、楽しそうだった。
幹事をやらされているADさんに、「日野さんの席はこの番号です」と紙の札をもらった。
自由席ではないみたい。
お偉いさん達は上座のテーブルに一まとめにされていて、
それ以外の人はランダムに、違う職種の人達とテーブルを囲むように決められていた。
隣は誰かな?
話したことのない人なら緊張する……。
そう思って充てがわれた席に向かうと、4人掛けのテーブル席に座っているオネェさんが、
「はぁい!小春ちゃん、こっちよ〜」と、私にひらひら手を振っていた。
「花ちゃん! よかった〜。
これで気を抜いて、料理を楽しめるよ」
「ま、失礼ね。 あたしは隣が涼ちゃんじゃなくて残念だわ〜」
花ちゃんの隣の椅子に座りながら、風原さんはどこだろうと、広い店内を見回した。
その時、「お疲れ様です」とあちこちから声が上がり、風原さんが入口から入ってくるのが見えた。