俺様御曹司の悩殺プロポーズ
周りの人達に爽やかな笑顔を振りまいて彼が座った席は、残念ながら遠い場所。
お偉いさん達のすぐ隣のテーブルに、風原さんの席は設けられていた。
その後に入店した佐川さんは、彼の隣の席。
下々の私達はランダム配置でも、番組MCの二人は上座の近くと決められているようだった。
もしかしたら風原さんの近くに座れて、久しぶりにまともな会話ができるかも……。
そんな淡い期待もしていたのだけど、無理だとわかってテンションが少し下がってしまった。
18時になって、忘年会がスタートした。
スポンサーのVIPの方々が、番組へのありがたい褒め言葉を並べ立てていた。
それを右から左に聞き流し、ずっと風原さんに視線を留めていた。
カメラ前に立つスーツ姿と違い、今日の彼は幾分カジュアルなスタイル。
茶色のチャッカブーツに、黒のスキニーパンツ。
白シャツに藍色のジャケットを着て、ネクタイはしていない。
オシャレな男性スタイリストさんや、なぜか一度番宣に来ただけの繋がりのイケメン俳優さんもいる中で、
風原さんのスタイルはとてもシンプルだけど、ここにいる60人ほどの男性の中で、彼が一番輝いて見えた。