俺様御曹司の悩殺プロポーズ
目にじんわりと涙が浮かんでいた。
風原さんに気づかれないように、掛け布団を頭まですっぽり被って泣いていた。
恥ずかしくてたまらない……。
その恥ずかしさとは、さっきとは全く別のもの。
一泊旅行ということは、当然そういうことがあると思い込んでいた。
あれこれ迷って下着を新調したり、ドキドキそわそわして、それをごまかすためにゲームまで持ってきて……私って馬鹿みたい。
勘違いをしていた自分が涙が出るほどに恥ずかしくて、惨めな気持ちになっていた。
風原さんは、初めから私を抱く気持ちはなかったんだね……。
いや、もしかしたら、露天風呂で裸を見せた時に抱きたい気持ちが失せてしまったのかも……。
私の体は大した魅力がないと知っているけど、自分が思うより醜いのかもしれない。
風原さんを、がっかりさせてしまったんだ。
抱きたくないと思うほどに……。
「うっ……うっ……」
彼に背を向けて、声を殺して泣いていた。
気づかれないようにしていたつもりなのに、私の涙は見つかってしまった。