俺様御曹司の悩殺プロポーズ
プロポーズは突然に
◇◇◇
温泉旅行から、およそ半月後ーー。
1月の冷たい風にコートの襟を立て、急ぎ足で家路に着いた。
時刻は17時。
今日はスイーツ探偵のロケ日で、遠方まで出かけていたから帰りが遅くなってしまった。
風原さんももうすぐ帰ってくる頃で、急いで夕食の支度をしないといけない。
マンションの3階の自分の家に入り、持ち帰った仕事アイテムをドサリと置く。
それからすぐにスマホと合鍵、ネギが飛び出ている食料品店のレジ袋を持って、25階の風原さんの家に向かった。
今日は手の込んだものを作っている時間がないので、メニューはお鍋にした。
エプロンを着てキッチンに立ち、土鍋に味噌味のスープを作って切った野菜とホタテや鮭の切り身を投入する。
お鍋がグツグツ煮えて温かな湯気がキッチンに立ち上ると、風原さんが帰宅した。
「ただいま」と、コートを脱ぎながらリビングのドアを開けて入ってきた彼を、ダイニングテーブルに食器を並べながら笑顔で迎えた。
「お帰りなさい!
今日は石狩鍋ですよ」
「いいな。外は寒いから、温まりそうだ」