俺様御曹司の悩殺プロポーズ
そんな私の頑張りも、フェロモンボイスの前に、ついに崩されてしまう。
肩までの髪を、耳に掛けられた。
あらわにされた耳介に彼の唇が触れて、一層艶めいた声が直に吹き込まれた。
「俺……全てが自分の思い通りにならないと、嫌なんだよね。
車に乗れと言っているのに、乗らないと可愛くないこと言う女も嫌いだな。
俺を怒らせると、怖いぞ?
わかったら、おとなしく車に乗れよ。
こ・は・る……ちゃん?」
はうんっ!!
そんなフェロモン全開ボイスで名前を呼ばれたら、もうダメだ……。
年末特番のあの時よりも、攻撃力が増している気がする。
私がハウン!となることを知って、あえてこんな攻撃をしかけてくるから、
この男は本当にタチが悪い。
頭がクラクラ、視界はユラユラ、足元フラフラ。
アハハ!と悪戯っ子のように笑う、風原さんの声を聞きながら、
私の意識はその後しばらく、どこか別の世界をさ迷うこととなってしまった。