俺様御曹司の悩殺プロポーズ
彼に言われた通り、毛布を頭まで被り直して、おとなしく寝そべっていた。
勝手に乗せるな!と言いたい気持ちはあるけど、
ハウンとなり、意識が半分飛んだ状態で放置されるのも困ってしまう。
乗せられたことについてはもう、溜め息ひとつで、それ以上文句を言わないことにした。
カーステレオからは、小さな音で洋楽が流れていた。
聞いたことがあるような、ないような……。
きっと、そこそこ古い曲。
派手さのないゆったりとしたメロディと、クラシックギターの美しい音色。
男性ボーカル二人のハーモニーが気持ち良かった。
聞く者の心に自然に入り込み、そっと琴線に触れるよう。
ニュースを読む時の風原さんの声に、そんなところが似ている気がした……。
車に流れるメロディだけじゃなく、体に伝わる振動も、滑らかで気持ち良かった。
それは、彼の運転技術が優れているせいか、それとも車が優れているせいか。