俺様御曹司の悩殺プロポーズ
そう言えば、寝そべっている後部席のシートも、かなり気持ち良い。
黒い皮張りで、固すぎず柔らか過ぎず、高級品のソファーみたいだ。
毛布を少しだけ持ち上げて見えた後部席のドアは、一部木目調のクラシカルなデザイン。
車の内装は、随分とお金が掛かっていそうな気がする。
この車、外から見る分には有り触れた白い乗用車だけど、
内装はダークな色合いの高級仕様になっている。
車も本人と同じで、二面性があるということなのか。
何か、納得……。
妙に感心している内に、快調に走っていた車はどこかに停車して、
「着いたぞ」
と言われた。
やっと隠れんぼ状態から解放され、毛布を剥いで身を起こす。
そこは駐車場だった。
私が住んでいるマンションの、地下駐車場。
そこで、ん?と疑問に思った。
そう言えば私、住所を伝えていないけど、何で知ってるの?
それとも、アナウンス部の住所録みたいな物は、職員なら勝手に閲覧できるようになっているとか?