俺様御曹司の悩殺プロポーズ
「お荷物、お預かりしております」
とコンシェルジュのお姉さんが言って、
風原さんはハガキや封筒、新聞をまとめて受け取っていた。
それから彼は当たり前の行動として、エレベーターの前に立つ。
私は、同じマンションに住んでいるという驚きの中、
ロビーの中央に立ち尽くしたままだった。
下りてきたエレベーターに彼が乗り込み、私に言った。
「明朝3時に、駐車場まで下りてこい。
局まで乗せて行ってやる」
「え? あの、私の局入りは4時半で、風原さんより一時間遅くて……」
「俺と一緒に3時半入りだ。
お前は、ダメ女子アナの自覚があるんだろ?
俺のやることを見て勉強しろ。
俺の番組で、失敗は許さないからな」
半分脅しとも取れる言葉を残し、風原さんの姿は消えて、エレベーターは上昇して行く。
口をポカンと開けたまま、エレベーターを見ていると、階表示は25階で止まった。