俺様御曹司の悩殺プロポーズ
褒められたくて
◇◇◇
翌日――。
言われた通り、3時ジャストにマンションの駐車場に行くと、
風原さんはもう、運転席に座っていた。
シャワー浴び立てなのか、
濡れた髪の全てを無造作に後ろに流して、形の良い額があらわになっている。
今だけは、彼のイメージ“爽やか”というより、ワイルドに見えた。
立てた親指で後部席を差し、乗れと合図をされる。
ドアを開けて後部席に乗り込むと、
「お早うございます」と挨拶もしない内に、「30秒の遅刻だ」と叱られ、
昨夜と同じく「黒い毛布を被って寝てろ」と指示された。
車は朝日の気配のない、まだ暗い街の中に走り出した。
毛布の中から「あの〜」と声をかけてみる。
「何?」
「朝ご飯食べる時間がなくて、おにぎり買いたいのでコンビニに寄ってもらえますか?」
朝が早過ぎて、食欲は湧かないけれど、
本番中にグーグーお腹を鳴らすわけにいかないから、無理にでも食べておかないと。