俺様御曹司の悩殺プロポーズ
取りあえず、言われた通りに風原さんの隣の椅子に座ると、
衣装が汚れないように、メイクさんがケープを掛けてくれる。
目の前の鏡越しに、メイクさんを観察した。
年齢は風原さんと同じくらいで、30歳前後に見える。
細身で長身の体型に、黒いスリムパンツと、パンクな柄のTシャツ。
その上に、鋲がトゲトゲした革ジャンを羽織っていた。
髪は茶色の短髪で、どう見ても彼は男性。
でも、喋り方は女性で……。
この人は、オネェさんなのだろうか?
そして、風原さんを“涼ちゃん”と呼ぶなんて、仲良しみたい。
あ、もしかして……付き合っているとか?
私は考えていることが、すぐ顔に出るタイプらしい。
目の前の鏡越しに、風原さんに睨まれた。
オネェさんのメイクさんは、風原さんの髪をワックスで整え、
誠実で爽やかな、表向きの彼の髪型に作り上げていた。