俺様御曹司の悩殺プロポーズ
ウフフと女っぽく笑っていても、やっぱり力は男の人。
「大五郎さん、痛いです!」
痛みに耐え兼ね、つい叫んでしまった言葉が、ますますオネェさんを怒らせてしまった。
「あら〜、あなた女子アナのくせに、おバカさんなのね〜。
その名前を二回目に口にした時は……命がないと思いなさいよ?
さあ、言ってごらん?
あたしの名前は何?」
頭が潰されそうな痛みの中で、慌てて叫び直す。
「あなたの名前は、花ちゃんです!
花ちゃん、本当に痛い!頭が割れちゃうからやめてー!」
「そうそう、それでいいのよ。
あたしのマッサージ効果で、ちょっとはお利口さんになったわね〜うふふ」
マジで、頭を潰されるかと思った……。
花ちゃんのこめかみグリグリ攻撃から解放されて、ホッとしていると、
私達を呆れの目で見ていた風原さんが、ケープを外して立ち上がった。
床にハラリと落ちたのは美容室によくある、ただのケープだけど、
彼がそうすると、どこぞの王子がマントを脱ぎ捨てたように見えてしまうから不思議だ。