迷い羊に連れられて
忘れて、と言われても忘れられない。


そのあとは他愛もない話をして、ホテルに向かった。

部屋に入ると、ビジネスホテルのわりには広くてきれいな部屋で安心した。





持ち帰りの仕事をしている間、入浴を先に済ませた野々瀬が出てきた。

ドライヤーで乾かしてもまだ髪に残る水滴が滴り、普段と違う雰囲気に思わず心拍数が上がってしまった。



(理性を保て。理性を。)


必死に言い聞かせた。



「先生...何見てるんですか?じろじろと。」

「いや、えっと...お風呂から出てきたかって思っただけ。」



危ない危ない。
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