告白作戦っ!
「痛っ‼︎」




男子の声がする。





どうやらうまくぶつかったようだ。






「おい、大丈夫か?」



優しい声が私に向けられる。





ああ、初めて私にかけられた草壁君の声。




何て優しい声なんだろう。





私はそっと目を開け草壁君を見た。






「あれ? 琉生?」


「何だ、柚衣じゃねえか」


「何であんたが私に声をかけてくるの?」


「おまえがぶつかってきてこけたからじゃねえか」




え? じゃあ、ぶつかったのは草壁君じゃなかったの?



私はがっかりして俯く。





「ちょっと柚衣。早く戻って再挑戦」



沙耶ちゃんがやってきて言った。




「お前ら何やってるんだ?」


「何でもいいじゃん。あなたは早く美術室に行って」



そう言うと私は琉生の背中を押した。





「草壁君は?」


「教室で何か書いてる。さっき中園君と教室を出かかったんだけど、戻っていったの」


「分かった。もう一度スタンバイするね」




私は再び廊下の曲がり角に戻った。



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