告白作戦っ!
私たちが下駄箱の近くまで行くと、沙耶ちゃんは私の背中を押した。
「がんばって」
「え? 一緒に来てくれないの?」
「周りの目を気にしながらの緊張感も味わなきゃ」
「そうだよ〜」
私は頷くと草壁君の下駄箱に近付いていった。
誰かに見られていたら大変だ。
私は周りを念入りに見回した。
心臓がどきどき鳴る。
草壁君の下駄箱のふたに手をかけ・・・
「あら、百瀬さん。もうクラブは終わったの?」
「せ、先生!」
担任の松島先生だ。
私はピーンと背筋を伸ばす。
もちろん無意識で。
「いえ、今日はサボってます」
「まあ、真面目な百瀬さんにしては珍しい言葉ね」
「はい、珍しい私です」
もう何を言っているのかさえ分からない。
「どうしたの? 顔が真っ赤よ。熱でもあるんじゃない?」
「だ、だ、だ、大丈夫です。さっき保健室で計ったら38度2分の平熱でしたから」
「かなり重症ね。早く帰って寝なさい」
「そうします」
先生はそう言うと職員室に入っていった。
ふう。絶対さっき一瞬心臓が止まってたよ。
別に悪いことしているわけじゃないよね。
でも、心臓のどきどきは止まらない。
もし今、草壁君本人が来たら絶対死ぬわ。