秘密の同居 ~secret love~
「どうぞ」
「ありがとう、お邪魔します」
変わらず笑顔な前野さんに対して、
私は……
こわばった不自然な笑顔なんだろうな。
「あ、朝食の途中でした?!すいませんっ」
申し訳なさそうに謝る前野さん。
「大丈夫ですよっ、あ…お茶入れるので座っててください」
「あ、お構いなく」
ニコニコと、笑顔を絶やさない前野さんは…きっと、いつも笑顔なんだろうな。
私は、キッチンに行ってお茶を入れる。
でも、そう簡単にはできなくて。
普段からキッチンに立たない私がお茶を入れれる訳がなくて…
ましてや、ぼーっとしている状態でさらにできるわけがなくて…
───パリンッ
私は湯呑を落としてしまう。
「だ、大丈夫ですか?!」
…ただ、わけがわからなかった。
指が切れてるのにも関わらず痛みを感じなかった。
「大丈夫ですよ!あの、危ないですから…座っててください、私片付けますからっ」
「怪我してるじゃないの…座ってて!私片付けるからっ」
私をソファに座らせると、救急セットを持ってきて手際よく処置してくれた。