渇いたKiss
「おい、愁!」
無言で声のする方を振り返れば、そこにいたのは石和賢悟(イサワケンゴ)。
なれなれしく肩に腕を回してくるが、もちろんそれを払いのける。
「んだよ。 ってかまた違う女の匂い…アタシ悲しいっ」
『キモいからやめろ』
「へいへい。そんな怖い顔すんなよ…」
ケンにそっちのケがあるわけではない。
こういうキャラなのだ。
こいつと俺とは幼馴染みたいなもんで、家も隣同士。
だから今一緒に歩いているのも帰る方向が同じだから。
「今日俺ん家こいよ。兄貴が帰ってきたんだ。飯作ってくれるって」