渇いたKiss

『…あぁ、父さん? 隣のシン兄帰ってきたみたいで夕飯ごちそうしてもらうことになったんだ。 …そう、来るとき連絡して』



家族ぐるみで仲のいい両家。

俺が行くからには親にも声掛けることが当たり前になっている。


だからこうして携帯で連絡。





部屋に入り、嫌でも目に入るコルクボード。


敷き詰められた写真が暗がりに光っている。




ケンとシン兄ともう一人の幼馴染と、


“家族”の写真もある。




家に帰れば必ず見返すこの写真たち。

どれも大切な思い出で、まだ走りまわれていた頃の俺。






『今日も連絡なし、か』




そう呟きカレンダーに×印をつけるのは、日課というより身体に染みついているのかもしれない。
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