渇いたKiss
玄関が開いていたから勝手に家の中へと入れば、家中に広がる食欲をそそる匂い。
中華、だろうか。
リビングのドアを開ければより濃くなる香り。
「あれっドア開いてた?」
『ん。だから閉めといた』
テーブルに広がる豪華な食事に目を奪われる。
自分で言うのもなんだけど、俺の家は金持ちだからこういう食事には慣れている。
それでもパーティ会場とリビングで見るのとはわけが違う。
「もうすぐ揃うらしいから、座ってろよ」
ピーンポーン…―――