渇いたKiss
「さっそく美桜の餌食になってるな、愁」
「シン兄!!」
シン兄の言葉にいち早く反応したのは美桜の方で、本日二度目の頭突きをかました。
「い…って」
『シン兄も、な』
「ねぇ、俺には?美桜、俺には?」
「うっさい、黙れ。ケンのくせに」
ケンだけ扱いが違うのは可哀相に思うが、俺はこの雰囲気が好き。
この帰宅してからの時間が、自分の家、ケンの家での時間が一番“俺”でいられる。
この瞬間は、ふざけた自分を隠せる。