ショータロー☆コンプレックス2
ショータロー☆コンプレックス2
「お~い、大丈夫か?正太郎」
久々に決まった公演に向けての練習をするべく、足を運んだ、都内某所の稽古場にて。
発声練習を始めるやいなや、盛大に咳き込んでしまったオレにふらりと近付き、いつもながらの飄々とした口調で団長が問い掛けて来た。
室内に居る時もトレードマークの真ん丸いレンズのサングラスは決して外さず、意図して伸ばしていた訳ではなく気が付いたらこの長さになっていたんだろうな、という過程が丸わかりの、何の手入れもされていないボサボサの肩までの黒髪ワンレンストレートという彼の風貌は一見すこぶる怪しげだけれど、いざ話してみるとちょっとしか胡散臭くないし紳士的な部分もあるし、そして結構情に厚い。
「あ、す、すみません。大丈夫です」
そんな彼を早く安心させねばと、前屈みになっていた姿勢を正して呼吸を整えてから、オレは急いで返答する。
「実はちょっと、風邪をひいちゃったみたいで、体が本調子じゃなくて…」
「オイオイ、バリバリ大丈夫じゃねーじゃねーかよ」
しかし、『ただの風邪』アピールはむしろ逆効果だったようで、団長に速攻で突っ込みを入れられてしまった。
「とっとと病院行けや。公演は一ヶ月後に迫ってるんだからな。それに、お前は一応ウチの看板俳優なんだから」
「え…」
久々に決まった公演に向けての練習をするべく、足を運んだ、都内某所の稽古場にて。
発声練習を始めるやいなや、盛大に咳き込んでしまったオレにふらりと近付き、いつもながらの飄々とした口調で団長が問い掛けて来た。
室内に居る時もトレードマークの真ん丸いレンズのサングラスは決して外さず、意図して伸ばしていた訳ではなく気が付いたらこの長さになっていたんだろうな、という過程が丸わかりの、何の手入れもされていないボサボサの肩までの黒髪ワンレンストレートという彼の風貌は一見すこぶる怪しげだけれど、いざ話してみるとちょっとしか胡散臭くないし紳士的な部分もあるし、そして結構情に厚い。
「あ、す、すみません。大丈夫です」
そんな彼を早く安心させねばと、前屈みになっていた姿勢を正して呼吸を整えてから、オレは急いで返答する。
「実はちょっと、風邪をひいちゃったみたいで、体が本調子じゃなくて…」
「オイオイ、バリバリ大丈夫じゃねーじゃねーかよ」
しかし、『ただの風邪』アピールはむしろ逆効果だったようで、団長に速攻で突っ込みを入れられてしまった。
「とっとと病院行けや。公演は一ヶ月後に迫ってるんだからな。それに、お前は一応ウチの看板俳優なんだから」
「え…」