ショータロー☆コンプレックス2
「エキストラの依頼がある時、『できればまたこの前来てくれた男性で』って、わざわざ指名されてんだから」


「マ、マジですかっ?」


舞台の方ではいつも三番手以降の役ばかりで、いかんせんパッとしないオレだけど、プロがフィルム越しに見てみれば、内側から目映いばかりのオーラを放っていたりするのだろうか?


なんて、勝手に妄想して浮かれていたオレだったが、すぐに現実を突き付けられた。


「『あれ?コイツずっとここに居たんだ?』感がハンパない、存在感の薄さがあちらさんにとっちゃこの上なくありがたいんだとさ。芝居やってるような奴らは良くも悪くも自己主張が激しいのが多いからな。はっきり言ってそういうのは邪魔くせぇらしい」


「あ、そういった方面で需要がある訳ですね、オレ…」


「ともかく、理由はどうあれ我が劇団の稼ぎ頭である事には変わりないんだから。常に体調は万全に整えておいてもらわねーと」


団長はオレの肩に右手をポン、と置きながら続けた。


「だから今日は医者にかかるなり、薬買うなりして、早く帰って寝ろ」


「…分かりました。それじゃあ、すみませんけどお先に…」


「正太郎くん!」


するとそこで、オレ達から数メートル離れた位置で話を聞いていた瑠美ちゃんが、心配そうな声音で言葉を発した。


「一人で大丈夫?私、送って行こうか?」
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