ショータロー☆コンプレックス2
向かいにあるロッカールームに入った所で、えらく体力が消耗している事に気付き、ちょいと一休みするべく、部屋の中央に置かれた長机前のパイプ椅子に腰かけた。


そこで、ここ一週間ばかりの激動の日々が思い起こされて、オレは心底ため息をつく。


以前好評だった演目の再演が急遽決まり、稽古に来るよう召集がかかったのが5日前。


といってもセリフは皆すでに入っているし、衣装もセットも一から準備する必要はなく、まぁ稽古というよりは念のためのおさらい、って感じなんだけども。


しかもオレはそんなに出番のある役処ではなく、本番までみっちりと練習を重ねなくてはいけないという立場でもなかった。


なので、前々から決まっていた交通量調査の仕事を片付けてから稽古に参加する事になったのだけれど、そこでうっかり体を冷やし、何年ぶりかに風邪にかかってしまったのだった。


拘束時間が長く、しかも終始屋外で作業しなければならない交通量調査は中々過酷な仕事だけれど、その分金になるので、過去に何度もやらせてもらっていて、今までは何のトラブルもなく任務を完了できていたのに、よりにもよってこのタイミングでウィルスを引き込んでしまうとは。


今回こんな事になったのは、それ以前に、充分に睡眠が取れない日が続いていたからなんだよな…。
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