ショータロー☆コンプレックス2
そ、そんな事されたら、一体オレ、どうなっちゃうの?


「前科持ち」って事になるんだろうか?


示談とやらをすれば許してもらえる?


だ、だけど、その為にはきっと、かなりのお金が必要になってくるよな。


今のオレに、そんな経済的余裕なんかある訳ないじゃん。


ていうか、それよりも何よりも、他人にそんなケガを負わせてしまったというのが最大級にショックだった。


「いや、冗談に決まってんだろ」


おそらく瞬時にして顔が青ざめ、さらに、情けない事に目ん玉がじんわりとして来たオレの様子を見て、辻谷は慌てたように早口でまくしたてた。


「そんな事するつもりはさらさらねーよ。大したケガじゃねーし。ただ、一言文句言ってやらねぇと気が済まないと思ってさ。俺の骨が丈夫だった事に感謝しろよな。医者からは、普通だったらヒビが入ってるか、下手すりゃ骨折しててもおかしくないって言われたんだから」


「ご、ごめんなさい」


訴える気はないという事が分かってホッとはしたものの、人にケガを負わせた事に変わりはない。


「あ、あの、せめて治療費を……」


金の事ばっかり考えてて何だかやらしいけど、かといって、その点に触れない訳にもいかないだろう。


他に償える方法もないし。


「…だから、もう良いって」
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