ショータロー☆コンプレックス2
しかし、ヘコみながら繰り出したオレの言葉に、辻谷は一瞬微妙な表情になってからぶっきらぼうに返答した。


「余計な事すんなよな。つーか、そもそもの発端は、俺が悪趣味なからかい方をしちまったからだし」


頭の後ろをポリポリとかき、気まずそうに苦笑いしながら辻谷は続けた。


「その…悪かったな」


「…え?」


「『ルミちゃん』とのせっかくのデートプランを邪魔しちまってさ。俺が偉そうな事言うスジアイなんか、なかったよな」


そこで辻谷は表情を引き締めた。


「ホントは、ちゃんと謝ろうと思ってここまで来たんだ。ごめんな?」


「え。あ、いや……」


な、何だ。

そうだったのか。


つーか、コイツにこんな風に下手に出られてしまうと、ホント調子が狂う。


確かにすごく頭には来ていたけれど。


末代まで、決して許してなるものかと思ってはいたけれど。


だけど、目の前で、こんな風に真摯に謝られてしまったら、その決心が揺らぐじゃないか。


つーか、すでにほとんど許す方向に気持ちは傾いて来ていた。


やっぱケガをさせてしまったというのがオレの中ではかなり負い目になっているし。


もう、強気な態度になんか出られそうにない。


「オレの方こそ、痛い思いさせちゃって…」
「じゃあ、今回の事は、お互い様って事で良いよな?」


辻谷は念を押すように問いかけて来た。
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