モテKingのターゲット
普段の俺の様子と違う事に戸惑う美月。
あぁ、面倒臭ぇ。
遊びなんだから、俺の交友関係まで口を挿むなってのっ!
「あぁ、知り合いだよ。お前より、ずーっと前からのな」
どうせ、この場で別れるつもりだったから、ちょうどいい。
俺は美月を冷たくあしらい、志垣さんに視線を移した。
「志垣さん、すみません。蘭をお借りしても良いですか?」
「………俺は構わないけど」
志垣さんの視線は蘭に向けられている。
そんな彼女は相変わらず、刺すような視線を向けて来る。
「んじゃあ、お借りします。ちゃんと送り届けますんで」
「おぅ」
俺が蘭の腕を掴むと、志垣さんは不敵な笑みを浮かべた。
「そういう事だから、じゃあな」
「えっ、ちょっとッ!」
状況が呑み込めない美月をその場に放置して、俺は蘭をモールから連れ出した。
暫く歩いて駅に着くと……。
「痛いです」
「あっ、悪い」
掴んでいた部分が赤く鬱血していた。
「マジでごめん」
「フッ……ホント、馬鹿力」
鬱血した彼女の腕をそっと擦ると、漸く柔らかい表情になった。