モテKingのターゲット
俺は脇目を振らず、女子トイレの中へ駆け込んだ。
「「「キャアァーッ!!」」」
「おいっ!!シュウ、マジでヤバいって!!すみません、すみません!」
俺の腕を掴みながら、必死にトイレ内にいる女性に頭を下げるケン。
そんなケンとは対照的に、俺は個室を1つ1つノックする。
「すみませんっ!知り合いの女の子を探してるんですが……」
トイレの個室は全部で10室。
扉が閉まっていた個室が5か所で、俺らの登場で次々と扉が開いた。
――――だが、彼女の姿はどこにも無かった。
「おいっ、シュウ!あの子、いないみたいだぞ」
「あっ………あぁ」
俺らが捜してる子がいないと分かり、トイレ内の女性の視線が鋭く刺さる。
「お騒がせしてすみませんでしたっ!!」
「………すみません……でした」
ケンに無理やり頭を下げさせられ、すぐさまトイレの外に連行される。
「アイツ、どこに行ったんだ?」
「お前、見間違ったんじゃねぇの?」
「いや、あんな美人、見間違うはずねぇよ」
「でも、いなかったじゃねぇかよ」