モテKingのターゲット
誰にも言えなかった心の声。
ママと私の辛い過去。
1人、また1人と……私のもとを去って行って。
そんな詰め込み過ぎた感情が堰を切って溢れ出した。
止まることの無い無数の涙。
それを優しく指先で拭ってくれる。
それが嬉しくて、さらに涙が溢れ出した。
すると、
「んっ……」
「マジで勘弁しろよ。まるで俺が泣かせたみたいじゃん」
泣き崩れる私をぎゅっと抱きしめてくれた。
嗚咽交じりに身体が痙攣し始める。
顏も身体もいう事を利いてくれない。
そんな私の背中を何度も何度も優しく擦ってくれる。
その心地良さと温かなぬくもりに、無性に切なさが込み上げてくる。
こんな風に、私以外の女の子も抱き締めてる彼。
きっと、それ以上の事だってしてる筈。
私なんて、手のかかる妹くらいにしか思われてない。
だからこそ余計に、胸が切なく軋んだ。
「周さんっ」
「………ん?」
「周さん、周さんっ……周さんっ!」
せめて、名前くらいは呼ばせて欲しい。
他の女の子達とは違う、何かが欲しい。
私は涙声で何度も彼の名を呼んだ。