モテKingのターゲット
今日は、連れてる女が服を買うのに付き合う事になっていた。
俺の好みの服が欲しいらしく、“一緒に買い物に行こう”と誘って来た。
駅で待ち合わせをして、適当にショップを廻って買い物をした。
『俺の好み』なんてものは無い。
だって、その子に合った服が一番だと思うし、無理して背伸びをするのは正直重い。
自分が好きな服だからこそ、その服の価値があるというもので。
『女』という生き物が尽々理解出来ない。
19時を廻り、そろそろ女と別れようとした、その時!!
俺の視界の隅にアイツの姿を見つけた。
蘭は小さな花束を手にして、駅前の交差点で信号待ちをしている。
その小さな花束を見つめる表情は柔らかく、とても綺麗だと思った。
信号が青に変わり、俺らの方へ向かって歩いて来る。
そんな彼女をじっと見つめていると、
「あっ、秋月 蘭じゃないっ。何、あの顏っ!!ニヤニヤ笑っちゃって、気持ち悪い」
俺の顔に亀裂を入れた、隣りの女。
蘭に視線を向けたまま、俺の腕に自分の腕を絡めて来た。
「シュウくん、行こっ!」