モテKingのターゲット


俺らは駅構内に足を踏み入れたが、恐らくアイツもここへ来る筈。


蘭の自宅がある駅は、ここから4駅先。

歩いて帰るとは思えない。


駅のホームに着くと、やはり彼女も同じホームのようだ。


俺の視線に気づいた蘭だったが、隣りにいる女に視線を向け、素知らぬ顔で後ろを通り過ぎた。

すると、


「何、あのブーケ!絶対、オヤジからプレゼントされたんだよっ!」

「…………お前、声デカい」

「別にいいじゃんっ!聞こえたって」

「そういう問題じゃねぇよ」


隣りにいる女、ホームの下に突き落としたくなる。

いや、マジでするつもりはないよ?

でもさ、人のことをとやかく言う権利は微塵も無いよね?


それに、根も葉もない噂を大声で口にするって、俺はアンタの常識を疑うよ。


俺は女の言葉を無視して、真っ直ぐと前を向いた。

どうせ、後少しでコイツともおさばらだし。

別れたら速攻で携番削除してやる。


俺らが乗る予定の電車がホームへと入って来た。

ったく、チンタラ走ってねぇで、とっとと来やがれっ!

俺は無性に苛立っていた。


電車に乗り込むと……。


< 136 / 168 >

この作品をシェア

pagetop