モテKingのターゲット
「ねぇ、見てあれっ!!」
女の声に渋々視線を移すと、そこには蘭の姿があった。
今風のチャラい格好をした男3人が蘭を取り囲んでいる。
恐らく、ナンパみたいな感じなんだろうけど。
当然蘭は嫌がる素振りをして、男達から逃げるように少し離れた場所へと移動した。
「カッコイイ感じの人達なのに、やっぱり、あぁいうのはタイプじゃないんだねぇ。オヤジしか相手にしないって噂、本当なんだぁ」
俺らの車両にだって、そこそこ人が乗ってるってのに。
隣りにいる女、もう名前なんてどうでもいいコイツを、走ってる車両の窓から放り投げたくなった。
とにかく、口を黙らせたい。
周りにいる連中が俺らの会話を興味津々な顔で聞いている。
俺は仕方なく、女の頭に腕を回し、自分の胸に押し付けた。
これ以上何か言ったら、本気でキレそうだ。
俺の突然の行動で、またもや視線を一身に浴びて……。
そんな視線から逃げるように、隣りの車両にいる蘭に視線を向けると。
「ッ?!!」