モテKingのターゲット
男3人にドアの隅に追い込まれ、スカートの裾やブラウスの襟を触られている。
帰宅途中だったんだろうな。
まだ制服姿で、メイクもバッチリしている所を見ると。
だから、連れてる女もアイツが蘭だって分った訳だし。
嫌がる素振りを見せた所で、男心を擽るだけだ。
それに、俺に見舞ったようなクリティカルヒットをお見舞いしたところで、1人に当たればいい所だろう。
到底、男3人には太刀打ちできない。
俺はどうしたらいいんだ。
あと1駅で降りる駅に着く。
1駅くらいは………何とかなるよな?
不安と焦りで吊革を持つ手がきつくなる。
すると、
男共の隙間から、蘭が俺へと視線を向けていた。
揺れる車内、ほんの僅かな隙間からの視線に俺は胸が締め付けられた。
助けを求めるような不安に満ちた表情が、一瞬であの表情に変った。
………初めて見た時と同じ、人形のような色と温度のない顏に。
そして、視線を落とした蘭は、俺の視界から消えた。