モテKingのターゲット
「俺には強がらなくていい」
「余計なお世話よっ」
「お前、危なっかしくて見てらんねぇ」
自分でも驚くほどに、素直に声に出していた。
そんな俺の言葉に蘭は何言うでもなく、そっと俺のシャツを掴んで。
「……臭い」
「はっ?」
「さっきの女の子の匂いがする」
「あっ………まぁ、それは仕方ねぇだろ」
俺の胸に顔を埋めている蘭が、可愛らしい嫉妬心を垣間見せた。
「送ってく」
「………」
「送らなくていいって、断らないのか?」
「送りたいんでしょ?……仕方ないから送らせてあげる」
「フッ。今時、ツンデレは流行んねぇぞ」
「うるさいっ」
メイクがすっかり崩れた蘭。
美人の欠片もないのに、何故だろう?
物凄く可愛らしく思えるのは。
「お前、指名手配みたいな顏してんぞ」
「はっ?……どんな顔よっ!!」
泣き崩れてメイクが落ちているのが恥ずかしくなったのか。
俺から顔を背けて、手で必死に拭おうとしている。
「黒い噂に追加されんじゃねぇの?薬中毒って」
「ッ?!………プッ、……アハハハッ、それいいかもっ」
「だろ?」