モテKingのターゲット
俺はその場でメモリを削除した。
俺の携帯に残ってるのは、家族と男友達と店のスタッフのみ。
勿論、蘭の連絡先は、店のスタッフとして残してある。
蘭を送り届けた帰り道。
意外にも気分はスッキリしていた。
いつかは止めようと思っていた“女遊び”
アイツの一言でこうもあっさり止めれるとは思ってなかったけど。
結果オーライで良しとするか。
その日を境に俺は新たな人生をスタートさせた。
こそこそ自宅へ帰ることもせず。
朝以外の時間にも店の手伝いをするようになった。
誰かに見られたら……という気持ちよりも、今は少しでも親父に近づきたい。
1日も早く1人前になって、自分が考案したパンを店頭に並べて……。
そして『このパン、美味しかったよ』と、再び手にして貰いたい。
女が嫌いになった訳じゃない。
ただ、心から求める相手が出来るまで、今は他の事に打ち込もうと思っただけ。
そんなきっかけをくれた蘭には感謝してる。