モテKingのターゲット
困惑の表情を浮かべ、俺に視線を送って来る。
「周さんも、何か言ったらどうですか~?」
「言いたい奴には言わせておけばいい」
「でも………。周さんには…………彼女さんがいるのに」
撹拌機のモーター音に、蘭の覇気のない声が吸い込まれてゆく。
俺は蘭の条件通り、女遊びは綺麗サッパリ卒業した。
けれど、そんな俺の意志とは関係なく、毎日のようにお誘いの声が掛かるのも事実で。
『もう遊びは止めた』という、俺の言葉は軽く無視され続け、女からの誘いが後を絶たなかった。
正直、求められて悪い気はしないよ?
だけど、一度決めた事を曲げるのは俺のプライドに反するんで。
だから、俺は印籠を突きつけるみたいに口にしたんだ。
『彼女が出来たから、彼女以外とは二度としない』
俺的にはサラッと言ったつもりだったのに、瞬く間に噂が広がって……。
必然的に蘭の耳にも入ったらしい。
女除けで発した言葉だけど、それ以外でも効果が出ているようだ。