モテKingのターゲット
待ち合わせが20時30分だと言っていたから、今から帰れば間に合う筈。
うちの店の閉店時間(20時)を考慮して、彼女が提案してくれたのだろう。
そんな風に気を遣ってくれる女性を悲しませるのはダメだよね?
俺と蘭は、リュウさんの分も厨房内の掃除をする事にした。
20時30分過ぎ。
仕事を終えた俺は軽くシャワーを浴びて、リビングで待つ蘭のもとに。
「待たせたな」
「髪、ちゃんと乾かしました?」
「あぁ」
俺の髪に手を伸ばして確認する蘭。
さすがに、冬の夜に外出するのに濡れたままじゃ風邪を引くだろ。
そんな俺らのやり取りを嬉しそうに眺める両親。
俺は蘭の首元にスヌードを被せて。
「じゃあ、行って来る」
「ランちゃん、うちの野獣に気を付けるんだよ~?」
「アハハハッ、大丈夫ですよ。周さん、私の事、妹だと思ってますから」
「無駄口叩いてねぇで、行くぞ?」
「あっ、はい。店長、奥さん、お疲れ様でした。良いクリスマスを……」
俺は蘭を送り届ける為に自宅を後にした。