モテKingのターゲット
家の外に出ると、寒風が風呂上がりの肌を突き刺す。
「寒くねぇか?」
「はい、大丈夫です」
「親父達と何話してたんだ?」
「え?あぁ、さっきですか?リュウさんのデートが上手くいくといいね♪という話です」
「今頃、待ち合わせ場所でアタフタしてるリュウさんが思い浮かぶよ」
「リュウさんって、彼女さんがいなかったんですねぇ。イケメンさんだから、てっきりいるのかと思ってました」
「それなりに遊んでるとは思ってたけど、さっきの様子じゃ、遊びもあんまりしてなかったみたいだな」
「それはそうと、周さんはデートしないんですか?昨日もラストまで働いてたし、今日だって……。クリスマスなのに、彼女さん、怒りません?」
蘭はスヌードに顏半分を埋めて、眼だけで俺の表情を窺っている。
蘭は完全に、俺に『彼女』がいると思い込んでる。
肯定した覚えはないけど、否定した覚えもない。
あれ以来、お互いにプライベート部分にあまり踏み込まなくなったから、余計にそう思うのかもしれない。