モテKingのターゲット
蘭は俺に視線を送り、自分の手首の火傷の痕を見るように促して来る。
「この間、オーブンの扉に触れて出来た痕だよ?それに……」
「………あ?」
「ほら、見て?ここなんて、この前また揚げ油で火傷した痕なんだから」
そう口にした蘭は俺に見えるように、ご丁寧にブラウスの襟を大きく広げた。
鎖骨のほんの少し上に、白い肌が薄らと色づいている。
顔を近づけてじっくり見なきゃ、火傷の痕だなんて全く分らない。
ホント、馬鹿だよコイツは。
断ってんのか、誘ってんのか、解ってねぇよ。
「だから?」
「だからっ!!ねっ?!こんな傷だらけの子なんて、気持ち悪くってその気にもならないから!!」
「それって、誰が決めたの?」
「えっ?」
「だから、その気にもならないって、誰が決めたんだよ」
「っ………」
必死に説得しようと試みた筈の言葉もあっさり撥ねつけられて、再び視線を泳がせる。
そんな彼女の身体を問答無用とばかりに、閉じ込めるように両手を着くと。
「そ、それとっ!!」
「あ?」
再び必死に説得しようと視線を送って来た。