モテKingのターゲット


「は、恥ずかしいのっ」


耳まで真っ赤に染め上げて、キュッと唇を噛み締めた。

その反応、自殺行為だって知らねぇの?

俺は込み上げる欲情をグッと堪え、やれやれ的な視線を送ると。


「だって………そういうの、した事ないんだもん」

「………………へ?」

「前に言ったでしょ?1人も斬って無いって……」

「……………はぁっ?!何それ、マジで言ってんのか?」

「こんな事、嘘吐いてどうすんのよっ」


ますます赤みを帯びる蘭の顏。

それは、彼女の言った事が本当だと物語っていて……。


俺の思考は完全に停止した。


だって、1人も斬って無いっていうのは、去年1年間で……って事じゃないのか?

『今まで』だなんて、聞いてねぇよッ!


放心状態の俺を潤んだ瞳で見上げて、


「だから……ね?その、………気持ちの整理がつくまで……待ってほしいのっ」

「っ……」


おい、何だよ、これ。

ってことは、何か?

今まで彼氏もいなかったって事?


俺は彼女を真っ直ぐ見据えて―――。


「じゃあ、付き合った事もねぇの?」

「……………ない」

「はっ、マジかよ」



< 165 / 168 >

この作品をシェア

pagetop