モテKingのターゲット
「は、恥ずかしいのっ」
耳まで真っ赤に染め上げて、キュッと唇を噛み締めた。
その反応、自殺行為だって知らねぇの?
俺は込み上げる欲情をグッと堪え、やれやれ的な視線を送ると。
「だって………そういうの、した事ないんだもん」
「………………へ?」
「前に言ったでしょ?1人も斬って無いって……」
「……………はぁっ?!何それ、マジで言ってんのか?」
「こんな事、嘘吐いてどうすんのよっ」
ますます赤みを帯びる蘭の顏。
それは、彼女の言った事が本当だと物語っていて……。
俺の思考は完全に停止した。
だって、1人も斬って無いっていうのは、去年1年間で……って事じゃないのか?
『今まで』だなんて、聞いてねぇよッ!
放心状態の俺を潤んだ瞳で見上げて、
「だから……ね?その、………気持ちの整理がつくまで……待ってほしいのっ」
「っ……」
おい、何だよ、これ。
ってことは、何か?
今まで彼氏もいなかったって事?
俺は彼女を真っ直ぐ見据えて―――。
「じゃあ、付き合った事もねぇの?」
「……………ない」
「はっ、マジかよ」